メカニックに行こう！ 電子工作好きなお姉さん 阿座神ふみ

さて、Vtuberになる前の私はと言えばなんてこともない一般人に過ぎなかった。

ゲームをして、漫画を読んで、音楽を聴いて、たま～にものづくりをする。

 

至って普通の人であった。

しかし、そんな私に2019年の6月、人生を変える出会いがあった。

 

以前から何となくVtuberというものを存在は知ってはいたものの、

実際に見ることはなく違う世界に住む人達なのだなぁ、程度の認識であった。

 

その日、一人のVtuberの動画を観た。それまで触れることはないと思い込んでいた世界に触れた瞬間であった。

 

胸に抱いたその気持ちはそれはそれは素敵なもので、

初めて銀河鉄道999の劇場版を観た時と同じような気持ち、

それはさながら新たに得られた知見と素晴らしき物語に魅せられ心奪われた少年のかけがえなき思い出のようであった！！

 

私はその日、ウカ様の動画を観たのであった。

その後はそれまで知らなかった多くの世界に触れる日々の連続であった。

数多の世界を観た。

行き着く旅路の果てに機械の体をタダでくれる星などないと知りつつも数多くの動画や配信を観た。

そんな日々を送る私の心は欣喜雀躍するようであった。

 

ある日、私はふと思った。

「自分はこのままで良いのか？確かに私には素晴らしき推しがいる。

私は指をくわえて唯々それを観ているだけで大変な幸せを感じられるとも。

それ自体に何の不満もない。しかし、しかしだ。それでは何かが足りないのだ。

それはなぜか？

嗚呼、嗚呼、そこに私はいないのだ。それが事実だ。嘆いても悲しんでも変わらぬ事実だ。

でも、わずかなものでも、一歩を踏み出せたなら、それは舞台の観客でしかなかった少年が

『俺は全世界を自分のものにするつもりさ！(Die ganze Welt gewinn’ ich mit ihm mir zu eigen!)』

と発する瞬間に他ならないのだ。」

 

「ユリイカ!!」

思い立ったとき私は叫んでいた。

 

「嗚呼、今日はなんて良い日だろう。私は気付いたのだ!自分のあるべき姿というものを。私は観客である。しかし、観客としての仮面もあれば舞台に立つ仮面も持ちうるのだ。たとえ一人の観客もいなくとも、この身の尽きるその日まで、私は踊り続けよう!!」

 

そして私は自分の新たなる体を欲したのである。

私はどんな風になりたいのだろう？

 

幾日も幾日も深く思想を巡らす日々が続いた。

私の理想とする、こうありたいと思う人物は誰か!それはエメラルダスだ。

宇宙を駆ける者ならば知らぬ者はいない。

 

星の海をひとり旅する大宇宙の魔女。エメラルダスだ。

しかし私はあんな風にはなれない、いやなりたくても自分と何もかもが違いすぎるのだ。

だからもう少し手の届く範囲で理想を考えた結果が今の私の姿である。

立ち絵の発注には紆余曲折あって初期案は黒髪で男装の麗人だったが色々あって今の私に至った。

この辺はまたどこかで話すこともあるだろう。

 

そして行動に出たのだ。

 

その後どうなったのか？

それは私の動画を観れば分かる。