インタビュアー（以下、イ）「こんにちは。本日はよろしくお願いします」

 

シリカ（以下、シ）「ぴこぴらぴー！ 今日は来てくれてありがとう。わざわざ取材をしに来てくれるなんて、シリカの魅力に惹かれちゃったかなー？」

 

イ：（あれ、確かシリカさんの方から取材依頼をされたような……）

 

イ：「そうですね。とても魅力的だと思います。胸のビスケットの飾りとか」

（シリカ、慌ててさっと胸を隠す）

 

シ：「これは食べちゃダメ！ 食べられるとシリカのお洋服なくなっちゃう！」

 

イ：「食べませんから！ 文章で表現できない絶妙に悲しげな表情するのやめてくださいよ。 そのお菓子本物だったんですね。確かシリカさんはお菓子の星から来たとか……」

 

シ「そうだよ、フリュリュマクメラン星から来たの。シリカはそこでお菓子たちを乾燥から守ってたんだ」

 

イ「なるほどなるほど。それで地球を侵略しに来た、とかですかね？　あっはっは」

（突然の沈黙）

イ「え……え？」

 

シ「フリュリュマクメラン星はね、ジョシリョクタカイアリがやってきて全部食べつくされちゃったの。だからもう残ってるのシリカだけなんだ……」

 

イ「なんか本当、ごめんなさい」

 

シ「ううん、気にしてないから大丈夫だよ！ 後悔後先立たずだよ！」

 

イ「後も先も立たないんですか!? ごほん、失礼しました。長くなりましたが、本題に入ってきたいと思います。シリカさんは何故Vtuberとして活動しようと思ったのですか？」

 

シ「お金が欲しい！」

 

イ「夢も希望もありゃしない！ 秒も待たない発言でしたね。お菓子の国なのでもっとこう、リスナーの皆に甘い気分になってほしい、とか」

 

シ「あ、それいい！ じゃあそれで。皆を甘い気分にさせたい！ します！」

 

イ「さっき、お金がどうとか……」

 

シ「シリカなんていったか覚えてないや！ シリカはね、お菓子みたいに甘い気分にさせるために配信を始めたの。だからスパチャよろしくね！ シリカにお金いっぱいちょうだい？」

 

イ「やっぱりお金じゃないか！」

 

シ「だってお菓子のはこずめのお仕事全然稼げないんだもん！ ずーっと同じ作業してるんだよ？ 流れてくるお菓子を箱に詰めて戻すの」

 

イ「ライン作業……！ 私もアルバイトで経験したことありますが、それは辛いですね」

 

シ「集中してるとね、どんどんベルトコンベアの方向に身体が動いちゃって。この前となりの人に突撃して怒られちゃったんだぁ」

 

イ「食品衛生上問題だらけな格好ですが、どうやってその仕事にありつけたのか聞きたい」

 

シ「ひみつじこーです！ 配信見に来てくれたら話すかも？」

 

イ「そうですね。シリカさんは現在どこでどんな活動をしているのか、お聞かせ願えますか？」

 

シ「シリカは今、『IRIAM』で毎日夜の20時から配信しているよ。基本は雑談だけど、毎週月曜日には朗読企画をしたり、ゲリラで歌配信をしたり。大家さんがLive2Dの準備もしてくれてるから、これから活動の幅はどんどん広げていくよ！」

 

イ「おぉ、それは今後に期待ですね。先ほど自称大家さんなる方とお話ししましたが、シリカさんが家賃をきちんと払ってくれるように、お手伝いしてくれているようです」

 

シ「この地下室も大家さんが用意してくれたんだよ。『お前が住める部屋はここしかない』って」

 

（インタビュワー、そっとハンカチを渡す）

 

シ「え、くれるの？ ありがとう！」

 

イ「強く生きてください。さて、そろそろインタビューも終了しますが、最後に一言ありますか？」

 

シ「シリカはね。一人で初めてちきゅーに降り立った時、孤独で不安で泣きそうだった。でも、人間さんたちがいっぱい助けてくれて。今こうしてお仕事しながら配信ができてる」

 

シ「だからね。シリカはVtuberの活動を通していっぱいいっぱい『ありがとう』を伝えたいし、自分の居場所が見つからなくて困ってる人がいれば『ここがあなたの居場所だよ』って伝えたい」

 

シ「皆が笑顔になれるような配信ができるようにいっぱいいっぱい頑張るから、応援してね！」

 

（インタビュワー、無言でシリカからハンカチを取り返す）

 

シ「え、くれたんじゃないの？」

 

イ「くっそ、まさかこんなタイミングでいいこと言ってくるとは……」

 

シ「というわけで、皆さん！ スパチャとグッズ購入よろしくね！」

 

イ「台無しだわ！ あの時の感動を返せ！」